W124 E280 オーバーヒートで入庫です。
水温の上昇とエンジン不調でご連絡いただき、入庫いたしました。
エンジンは問題なくかかりますが水温が高く、ノッキングが出ます。
リザーブタンクが汚れていて冷却水が良く見えませんでした。
まずがサーモスタットを外してみると茶色い錆水が流れ出てきました。
サーモも錆が溜まってしまっています。
リザーブタンクのキャップにガスリークテスターを使ってみましたが
数回のポンプですぐに変色しました。
これは間違いなくガスケット抜けです。
一応圧縮測定も行いましたがこれは6気筒とも問題ない数値になりました。
W124のヘッドガスケットは弱く、ガスケット抜けが無くてもオイルや
クーラントが漏れてしまう事がよくあります。
この場合もヘッドガスケットの交換は必要になります。
オーバーヒートしているという事もありヘッドのオーバーホール、
面研など含めてご提案させていただきましたが、
ご予算の都合でステムシールはやらず、シリンダーヘッド側の機械面研と
シリンダーブロックは手作業で磨きました。
まずはシリンダーヘッドを外しますがフロントカバーのピンが抜けません。
色々試しているうちにねじ山の部分が折れてしまいました。
しかたないのでフロントカバーを少し浮かしてレシプロソーで切断。
インマニなど外してシリンダーヘッド単体にしてからねじを切り直してスラハンで引き抜きました。
ピンはもちろん新品に交換です。
作業前の点検でラジエーターも半分くらいしか暖まらないのでラジエーターも交換。
ヒーターコアは点検して大丈夫そうなので今回は清掃して使用します。
ウォーターポンプも外しましたが軸がガタガタになっていました。
高いですがこちらも交換になります。
また、ベルトテンショナーが全く張れず点検してみるとゴム部分が
捻じれたまま固まってしまい使えませんでした。
新品を手配して比べるとよくわかります。
ヘッドを清掃して近所の加工屋さんで研磨してもらいました。
歪みはそこまで出ていなかったのが幸いです。
シリンダーブロック側も手作業で問題ない範囲になりました。
肝心のガスケットですが5番と6番の間のウォータージャケットに詰まりがあり、
その部分のガスケットが錆びて脆くなり6番シリンダーがガスケット抜けをおこしていました。
写真を見るとわかりますが6番のピストンヘッドだけ綺麗になってしまっています。
幸いガスケット以外に腐食などは見られなかったので細い器具などでクーラントの通路を清掃していきます。
準備が出来たら新しいガスケットを取り付けてシリンダーヘッドを置きます。
ヘッドボルトも今回新品にしました。
ヘッドが付いたら吸排気周りと補器類を取り付けます。
フロントカバーは取付ずらいのでオイル漏れが起きないよう注意して作業します。
復元作業が完了したらエンジンオイルとクーラントを入れ替えて始動します。
オイル漏れなど異常が無い事を確認して走行チェックをします。
水温も安定していてヒーターもしっかり効いてくれました。